宇宙際タイヒミューラー理論の論文を解読しよう(4)
前回,星先生による,「絶対ガロア群による数体の復元」を見ていて,ノイキルヒ・内田の定理による,絶対ガロア群からのもとの数体の復元は,具体的に元の数体を再構成できるほど強い復元ではない(復元には、レベルがある)といった内容を書きました.この続きですが,望月先生は,この復元のレベルの違いを,「双遠アーベル的復元」と「単遠アーベル的復元という言葉で説明しました.
を数体とし,をそれぞれの代数閉包で, をそれぞれの絶対ガロア群であるとする.
双遠アーベル的復元とは,以下の二つのいずれかを示すことである:
1.
2. 全単射が存在する.
一方で,単遠アーベル的復元とは,
3. を入力すると,を出力するような,関手的な群論的アルゴリズムを具体的に構成する
ことである.
が成り立ち,3の復元が最も強いということになります.また,ノイキルヒ・内田の定理は,2の双遠アーベル的復元の例になっています.しかし,この定理は,数体に関しては,単遠アーベル的復元は与えていないそうです.この資料タイトル「絶対ガロア群による数体の復元」の「復元」は,「単遠アーベル的復元」を指しており,双的復元しか達成していなかったノイキルヒ・内田の定理の強化版を伝えるものになっているようです.
以上が§1の大まかな内容です.§2では,局所的な単遠アーベル的復元を解説しているようです.局所的な復元操作を「束ねる」等して,大域的な復元操作を実現するということかなぁと思っています.(まだ見てませんが.)